斜面はパイプ流路の被圧水圧で壊れる(仮説)

現実に豪雨災害で発生した現場を見て回ると、地表までの水圧で円弧滑り・・・というのは皆無です。恐ろしいほどの水圧が作用した跡がたくさんあります。
当社が考える仮説は、普段は自然の健全な地下水排除工となっているパイプ流路が、豪雨により満タンになるか小変動によって閉塞されることによって、大きな被圧水圧が発生して斜面の表層部を吹き飛ばす、というものです。

パイプ流路が満タンになり被圧水圧が作用して巨大な岩塊が吹き飛ばされた概念図(アニメーション)

土層強度検査棒は、c・φ同時計測できるため、現在行われている未知数2つの逆算法(土質強度・地下水圧)の曖昧さを排除することができます。c・φが既知であれば、崩壊後の逆解析では、未知数1つ(地下水圧)に絞ることができます。実際にやってみると被圧水圧が作用している場合が少なくないことがわかります。土の強度は意外に大きく、通常の雨による自由水圧ごときではなかなか崩れません。

パイプ流の存在はなかなかわかりません。1m深地音測定か地中音探査が現在ある探査法です。1m深地音測定は実績のある調査法ですが、時間面・コスト面を考えると、地中音探査(不飽和パイプ流路のプチプチという曝気音を耳で聞きます)がこれから有望な探査法になると思われます。

パイプ流路を保全し、パイプ流の被圧水化を防止することが、斜面崩壊を予防する最適な方法です。鋼製ドレーンパイプはその役割を果たします。パイプ流路は、水路と同じで下流ほど断面が大きくなければ、豪雨時に詰まってしまいます。

土砂災害警戒情報などで利用されるその地域での土壌雨量指数第一位というのは、その地域での自然の地下水排除工、すなわちパイプ流路の排水能力を示しているものと思われます。パイプ流路を保全することは、豪雨による斜面崩壊耐力を高めることに直結します。

・上記の説明用PPTは、ここ(http://www.ohta-geo.co.jp/tech_rep/20130913geotech_matue2.pptx)からダウンロードできます(7MB)。
・フルバージョンは、ここですが、35MBもありますので注意してください。そのpdfは5MBくらいです。

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