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【無対策だとこうなる】
盛土土塊全体が、斜面下方に移動するのが「滑動崩落」です。移動量が少なくても基礎を壊されますので、家屋は全壊します。
【待受型対策工だとこうなる】
自然地盤の地すべりと異なるのは、盛土の変形が家屋を壊すことです。左写真の現場は、過去に発生した滑動崩落防止対策として抑止杭工がたくさん打設されていました。しかし、地盤は変形し、家屋は基礎ごと傾きました。

変形量の相対的比較のための解析
抑止杭工打設地区で地盤変形により家屋損壊事例より
(1)無対策、(2)土塊分割工法(SFK)、(3)抑止杭工法(既設)での比較


抑止杭および側部から遠い位置の盛土に大変形が生じ、家屋が壊れ、解体された。
 宅地面積は200m2前後(都会では150m2くらい?)なので、15m四方程度が1軒当たりの宅地面積となる。既存宅地に対策可能な場所は、公道またはお隣さんとの境界部である。
 抑止杭工は、仙台市太白区緑ヶ丘3丁目で施工されていた(1978年地震時に変動したため)。しかし、今回上記解析結果の傾向と同様の変状が発生した。
 無対策の箇所は、太白区緑ヶ丘4丁目など多数の地区が大きな移動・変動量となった。その結果、大変動が発生し大きな被害が発生した地区がある。

※滑動崩落防止事業では、土塊が移動して他者に被害を及ぼすことを防止するのが目的なので、変形は考慮されない可能性があります。
無対策では、当然のことながら大変形が起き滑動崩落に繋がるが、抑止杭工でも杭工から離れた位置では無対策の時の2/3もの大きな変形量が発生する。すなわち「土塊全体の滑動は抑えられたが家は壊れた」ということは現実化する。側方抵抗力を有効に活用する土塊分割工法は最大変形量が抑止杭工の20%未満であることに加え、応力が分散しているので、微少な変形量も広く均等に発生するため、家屋に有害な歪を発生しにくい。抑止杭工では、杭近くで応力集中が発生するため、末端部でも圧縮隆起に伴う変形が発生し家が壊れる。
主応力の分布(矢印は変形ベクトル):抑止杭工(全ての待ち受け型対策工も同様)は対策位置の上側の土塊が滑動を起こすことに対してはまったく何も対策をしていないのと同等である。このため、杭から離れたところの変形は無対策時とそれほど大きな違いは無い。抑止杭直近では応力集中が発生して土塊の滑動を食い止める。土塊全体の滑動は止まるが、変形は無対策並みに発生するわけである。これはアンカー工なども含め、待ち受け型対策工の宿命である。土塊の剛性が高い場合には、土塊内の絶対変形量が小さいので自然地盤(人工地盤の盛土よりも剛性が大きい)の地すべりなどでは大きな問題にはならない。

土塊分割工法は、滑動崩落時に土塊の滑動を抑える作用をする側方抵抗を有効に利用する工法です。変形量を小さく、かつ分散することが可能で、地震時に致命的な運動をする盛土造成地から家屋・宅地を守ります。また、抑止杭工など大規模な対策工事は、道路など宅地以外の場所で行うことしかできませんが、土塊分割工法は宅地境界部を利用して既存家屋が存在する宅地でも施工可能です。
土塊分割工法(=SFK工法)の適用範囲
詳細は3次元安定解析を行って対策工を設計する必要がありますが、概略的には以下のようになります。
(1)幅/深さ比>10の盛土の滑動崩壊発生率は非常に高い
(2)幅/深さ比<5ではほとんど滑動崩落は発生していない
(3)設計上は、幅深さ比≦3となるように配置する
 すなわち、幅15mの敷地であれば、深さ5mの盛土に対策可能である。深さ3mであれば、幅/深さ比=5となるので、念のために宅地の一部(庭)に補助的な分割(中途半端でもよい)を行う。
(4)深さ2mよりも浅いような薄い盛土に関しては、側方抵抗力を期待する工法よりも、たくさん地山まで貫入させた「押しピン」をしておくことで対策できる。

土塊分割工法は太田ジオ単独の特許工法ですが、まだ実用化に至っておりません。実現可能な工法組み合わせとして下記のようなものを考えています。技術協力・業務協力してくださる企業を募集しております。
上記図のpdf  ・施工機械のイメージ
戸建住宅所有者にかかる総コスト

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(ご紹介した土塊分割工法は、太田ジオが特許を取得し法令により保護されています)
詳しくは、太田ジオホームページをご覧ください。